やってきたHAL9000
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瀬戸内暮らし
建築やデザインを学んだ理由を長い間、忘れていた。
わたしは景色をつくりたかったんだ。
ようやく思い出した。デザインや建築を好きになった理由。
なんでこんなに大切なことを忘れてしまっていたのだろう。
最近、デザインをするときに違和感があった。
美しいもの、可愛いものは好きだけど
何をデザインしたいのかわからなくなっていた。
建築物をデザインしたいのか、雑貨をデザインしたいのか、暮らしをデザインしたいのか、イベントをデザインしたいのか。
何か一つのものだけをデザインしたいわけではない。デザインしたくないわけではない。
自分のことがよくわからなくなっていた。
そんな時、大学院生の時に書いた文章を読んだ。
「景色」をつくりたい。
そこに書いてあったこの言葉を読んで、ようやく思い出した。
何をデザインしてもいい。わたしは景色をつくりたかったんだ。
それが単純な街の風景でも、イベント会場の賑やかな景色でも、日常のほっこりする景色でも良い。
なんかいいなと思える景色をつくりたかったんだ。
だから、何か一つのものを作ることに固執することに違和感を感じてたのか。
社会人になり、役割を与えられて忘れてしまっていた自分の使命を思い出した話。